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LongView NO.170



エコロジーは幻想なのか?(1)

前号(169号)の「迷惑メール」については、同感との意見がいくつかありました。困っている人は多いようです。8/23の朝日新聞に「迷惑メール、規制強化へ 承諾ないもの一律禁止 総務省」の記事が掲載されました。特定電子メール送信適正化法(迷惑メール規制法)の改正案を来年の通常国会に提出するとのこと。法律ができても「迷惑メール」がなくなるとは思えないのですが、それだけ要望が多いということでしょうか。今号は、大事な問題ですが、ひとすじなわではいかない「環境問題」を違った角度から考えてみました。



 温暖化をめぐる環境問題の高まりの中で、最近一部で話題になっているのが

  • ペットボトルのリサイクルは資源の無駄使い

  • 田舎暮らしは環境を悪化させる

  • 太陽電池、電気自動車は省エネにならない



 こういう論議です。これは、中部大学総合工学研究所教授で工学博士の武田邦彦氏が、その著書『エコロジー幻想』(青春出版社)で述べていることで、最近の『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』(洋泉社)では、さらに過激に(?)なって


  • 日本ではペットボトルはリサイクルしていない

  • 地球が温暖化しても海水面はあまり上がらない

  • ダイオキシンは猛毒ではない


 という主張が述べられています。こうした同氏の考えは著書のほか、週刊誌の記事やテレビ番組などでの発言で知られるようになりましたが、大手新聞やマスコミではほとんど登場しないようです。

 武田氏によると、ペットボトルのリサイクルが成立しない原理は簡単です。


『なぜ原油が1円、ボトルが10円、そして商品が150円なのだろうか? それは1本のボトルを製造して飲料メーカーに配達するのに石油を10本分使うからである。そして消費者が「いつでも手元にお茶が欲しい」という希望を持っているので、それをかなえると石油をペットボトルの重さの石油に換算すると150本分使ってしまう。人件費を差し引いても120本分を使っている計算になる。』(同氏のホームページより)


  ペットボトル1本分の石油の原価は約1円だそうです。しかし、1本のペットボトルを作るのに150本分の原油を消費するというのです。この149本分は、ペットボトルの製造設備、流通・販売システム、メーカー・流通の利益などです。同氏によればこれは「ペットボトルの背後霊」で、ペットボトルが店頭や自動販売機においてある時点ですでに使われてしまっているのです。この背後霊は「お茶がいつでも冷たく快適に飲めるために使われる資源やエネルギー」の費用です。だから (1)使用したすべてのペットボトルが回収され、(2)回収に物質もエネルギーもいらないという夢のリサイクルシステムが登場しても「熱の回収率」は最大で150分の1、つまり0.67%しかならない、というわけです。

 原料1円分を再利用するためは少なくともその数十倍のエネルギーを使ってしまう。エネルギーとは石油のことですから石油の節減にはなっていないということになります。当然、このペットボトルのリサイクルエネルギー効率は、いまやおおはやりの「省エネ」製品全般にいえることになります。太陽熱発電、電気自動車などすべてそうなります。
 武田氏の同著によれば「燃料をまったく使わない夢の自動車ができても、自動車を作るために使ったエネルギーを(燃料の節減で)カバーするには24年かかる」ということになり、「太陽電池」も同じとのこと。確かに、ペットボトルの問題に戻ると、今後画期的なリサイクル技術が開発されてもそのシステムの運営にはエネルギーが必要なのでこの関係は変わりません。ましてや現在のリサイクルでは一度再利用した後の繊維製品などは再利用されにくいですから、完全なリサイクルではありませんね。業界団体などが発表しているのも「回収率」ばかりです。

 どうも、新たに作る場合より低いエネルギーで、もういちど同じ品質の再生品を作るという「完全なリサイクル」は不可能なようです。しかし、現実には官民挙げて法律まで作り、社会のボランティアまで動員して「リサイクル運動」はされています。なぜかといえば、捨ててしまうのはもったいない。資源の無駄使いだから、再利用するべきだという意見(これは確かに正しい)があるからです。このことを武田氏は「部分的には正しく、全体では間違っているエコロジー」といっています(実は、印刷業界のひとは、再利用の紙を利用した完全再生紙がバージンパルプから作成した印刷用紙よりエネルギーがかかることを知っていましたから、このことは決してわかりにくい議論ではありません)。

 この件については、武田氏自身がホームページやオンラインマガジンで発表していますのでご覧ください。


 →■[http://www.toyokeizai.net/online/magazine/story02/backnumber.php?kiji_no=33(東洋経済オンラインマガジン)]

 →■[http://takedanet.com/(武田邦彦氏のページ)]


 なお、PETボトル協議会は、そのホームページで、『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』の一部のデータが捏造だとしています。環境gooも参考に。


 →■[PETボトル協議会]

 →■[ペットボトルリサイクル:環境goo]



【後記】前号の「迷惑メール」については、同感との意見がいくつかありました。困っている人は多いようです。8/23付けの朝日新聞に「迷惑メール、規制強化へ 承諾ないもの一律禁止 総務省」の記事が掲載されました。特定電子メール送信適正化法(迷惑メール規制法)の改正案を来年の通常国会に提出するとのこと。法律ができてもなくなるとは思えないのですが、それだけ要望が多いということでしょう。詳細は →■[アサヒ.コム]



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